Report Learning lab 03|ゲスト 会田 大也さん「遊びから育む現代社会のリテラシー」

勉強会シリーズ第3回として「遊びから育む現代社会のリテラシー」と題し、 ミュージアムエデュケーター会田大也さんをゲストに招いた勉強会をAITにて開催しました。

さまざまな環境下にある子どもや若者が、アーティストとの出会いを通じて世界のひろがりや他者との繋がりを発見するきっかけをつくるdear Meでは、これまでに美術鑑賞プログラムやアーティストを招聘したワークショップ、アートとケアを考える講座シリーズなどを実施してきました。

こうしたプログラムと並行して、アートと児童福祉に関わる専門家とのコミュニケーションと意見交換の場として「勉強会」を実施し、子どもの自立支援の課題や教育的なプロジェクトを行うアーティストから学ぶ機会を設けてきました。これは、プログラムを行う私たち自身が子どもと社会の仲介者として経験を共有し、それぞれの活動への豊かなフィードバックを得る事を目的としています。

勉強会シリーズ第3回として「遊びから育む現代社会のリテラシー」と題し、 ミュージアムエデュケーターである会田大也さんをゲストに招いた勉強会をAITにて開催しました。

会田さんが教育普及担当として携わった、山口情報芸術センター(YCAM)にて2012年に企画した「コロガル公園シリーズ」は、子どもたちの自発的な遊びやルールづくりを通して、現代社会に対するリテラシーを育む エデュケーションプログラムとして高く評価され、継続して開催されています。

勉強会では前半のレクチャーとして「コロガル公園シリーズ」をはじめ、会田さんが実施してきた様々なプログラムと関心ごとについてお話を聞きました。特に、子どもたちが社会とコミットしている手応えを感じられるきっかけとしてのアートの可能性や、ワークショップと学びの関係について問いかけ、後半には、ワークショップ形式でディスカッションを行いました。

コロガル公園の事例紹介では、建築やデザインから 発的に遊びを見つける子どもたちの様子や、子ども自身が役割を持ち、主体的に関わりながら場が作られることについて紹介しました。また、遊び場となっていた公園が取り壊されることが決まったのちに小学生が自ら署名活動を行い、行政を動かし、公園の取り壊しを阻止したという、子どもたちの声から社会を変えた事例を挙げました。

参加者中には児童福祉施設職員や美術館の教育普及スタッフ、子どもの支援に関心のある企業の方、精神科医や精神福祉の看護師等が、それぞれの立場における子どもの支援や学びのあり方について意見交換をしました。

プロフィール
  • 会田大也(ミュージアムエデュケーター/東京大学GCL育成プログラム特任助教)
    1976年東京生まれ。2000年東京造形大学造形学部デザイン学科造形計画専攻卒業。2003年情報科学芸術大学院大学IAMAS修了。2003年開館当初より11年間、山口情報芸術センター[YCAM]の教育普及担当として、メディアリテラシー教育と美術教育の領域にまたがるオリジナルワークショップや教育コンテンツの開発と実施を担当する。一連のワークショップは、第6回キッズデザイン大賞を受賞。担当企画展示「コロガルパビリオン」が、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品受賞。一連の「コロガル公園」シリーズは2014年度グッドデザイン賞を受賞。2013年、国際交流基金主催の日・ASEAN友好40周年事業 国際巡回メディアアート展「MEDIA/ART KITCHEN」キュレーターに選出。2014年より東京大学大学院ソーシャルICTグローバル・クリエイティブ・リーダー[GCL]育成プログラム特任助教。他に、伊勢丹cocoikuプログラム監修、VIVITA株式会社企画担当、Mistletoe株式会社フェローなど。
  • dear Me プロジェクトとは
    NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ [ AIT/ エイト] と日本財団(2016-2018)による、子どもとアーティストが出会い、共に表現をする機会の創出や、アート/表現を通じた自由な学びと未知のものに出合う空間(場)づくりを通して社会を捉え直すプロジェクト。子どもの福祉施設ほか、さまざまな環境下にある子どもや若者、大人の伴走者に向けた、対話型の鑑賞ワークショップや国内外のアーティストによるワークショップを実施するほか、共に学ぶレクチャーやシンポジウム、イベントを企画。現代アートの多様な表現や対話をつうじて様々な価値観に触れ、世界のひろがりや他者との繋がりを発見するきっかけを創ります。
  • NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]とは
    現代アートと視覚文化を考えるための場作りを目的として、2001年に設立したNPO団体です(2002年法人化)。 個人や企業、財団あるいは行政と連携しながら、現代アートの複雑さや多様さ、驚きや楽しみを伝え、それらの背景にある文化について話し合う場を、さまざまなプログラムをとおして創り出しています。
    http://www.a-i-t.net/ja/