コレクティヴ・アメイズメンツ・トゥループ [CAT] のプログラムで開催した鑑賞と創作ワークショップ「インスピレーション・プログラム」、上條 桂子さんによるレポートをお届けします。
2025年2月9日。コレクティヴ・アメイズメンツ・トゥループ [CAT]のインスピレーション・ツアー「新たな鑑賞の楽しみ方を見つける、アートと心のインスピレーション・プログラム」の一環で、創作の回が開催されました。ダウン症や自閉症の子どもを中心に表現活動を行う市民グループ「アトリエ・エー」のメンバーのうち、鑑賞に参加したみなさんの創作の様子を紹介。
後日、インスピレーション・ツアーの創作の時間として、アトリエ・エーの活動が行われた際、展覧会を訪問した竜さん、ゆういさん、こうきさん、にきさん、れいさん、とうこさんが参加。
美術館で得た刺激を表現に落とし込みます。ゆういさんは一番気に入った作品を絵に描きました。なぜこの作品にしたの?と聞いたら「形がいい。バランスがいい。動いている時よりも止まっている姿がいい」とのこと。
こうきさんは会場で撮影した写真を見ながら文字を書き写していました。
にきさんはマティスの絵を描いて「マティスー」とポーズ。
れいさんは暗闇の中の鉄琴を丁寧に描いていました。美術館の作品を描かなかったのはとうこさん、それもいいね。竜さんは、鑑賞会でもらったノートにびっしりと心から溢れる書きたいことを書き連ねていました。「書きたくて、書きたくて、書きたい過ぎる」。いつものアトリエ・エーの活動に、みんなで出かけた体験が加わっていたようです。
CATの活動としては3回目となった、多様な人々とともに作品を見てお互いにインスピレーションを得るプログラム。今回は一般から多様な参加者を募ったり、企業の方もボランティアサポーターとして参加いただいたり、幅を広げてのトライアルとなりました。様々な立場の方が参加されていましたが、それぞれの立場での気づきがあったようです。
障害のある人たちの言葉や振る舞いは、先入観で凝り固まってしまっていた私たちの頭を大きく揺さぶります。でも、障害の有無以前にみんなが違う体や身体感覚や知覚を持ち、様々な人生を生きて、異なる視点を持っている。そんな当たり前のことに気づかされ、その視点をシェアし合うことが新たな刺激になる。だから、「みんな」で鑑賞する時間がここまで楽しいものになるのだ、と納得しました。
テキスト:上條 桂子 写真:阪本 勇
写真記録 阪本 勇
取材・レポート 上條 桂子
制作 堀内 奈穂子 藤井 理花 和田 真文
会場:上原社会教育館(東京都渋谷区)
主催:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
企画:AIT ディア ミー
協力:アトリエ・エー
寄付:資生堂カメリアファンド
本事業の鑑賞サポートは「東京文化戦略2030」の取組「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の一環でアーツカウンシル東京が助成しています。
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上條 桂子フリーランス編集者。雑誌や書籍の編集執筆を行う。アトリエ・エーには、スタッフとして2013年頃より活動に参加している。