Lecture|子どもとアーティストの複雑で面白い関係性 – イントロダクション –

川村亘平斎と子どもたちによるオリジナル影絵パフォーマンス with AFRA 《二葉天狗とおおぐい海獣》より、ワークショップで影絵人形を制作する子どもたち Photo by Takaaki Asai
川村亘平斎と子どもたちによるオリジナル影絵パフォーマンス with AFRA 《二葉天狗とおおぐい海獣》より、ワークショップで影絵人形を制作する子どもたち Photo by Takaaki Asai

個性豊かな子どもたちとアーティストが主体的に関わり、表現や創造性を引き出し合う試みや、多様な人同士がつながる新たなアート・エデュケーションの形を模索するdear Meプロジェクトを始め、これまでの様々な事例を取り上げます。ここでは、問題解決を目指すのではなく、柔らかな方法でアートと福祉が交差する活動の意義や課題、よりよい社会づくりに向けて何ができるのかを考えます。

 

領域を横断する、柔らかな協働の可能性を探る

子ども+アート+フクシ+ケアについて学ぶコースの導入として、AITが2016年より実践している子どもとアーティストを繋ぐ新たなプログラム「dear Me」の活動を紹介します。AITが培ってきた教育プログラムやアーティスト・イン・レジデンスで生まれた関係性から発展したこのプログラム。児童福祉施設をはじめ、様々な環境下にある子どもたちとアーティストのワークショップ、美術館訪問、専門家との学びやディスカッションを通して新たなアート・エデュケーションの形を模索しています。

個性豊かな子どもたちとアーティストが繋がることで想像力を引き出し合うこと、また、子どもと寄り添う大人と、より良い環境作りへの関心を増やすこと。ここでは、問題解決を目指すのではなく、柔らかな方法でアートとフクシが交差する活動やその可能性について考えます。


MAD 2018 子どもとフクシとアートのラボ(4-9月)

アートと子どもと福祉を取り巻く新しい可能性について考えるコースの一環で行われるレクチャーシリーズ。レクチャーと実践を通し、さまざまな環境下にある子どもや若者が主体的に関わる場づくりや新しいアート・エデュケーションの可能性を考えます。AITが2016年に立ち上げたアーティストと子どもが協働するプロジェクト「dear Me」を出発点に、ゲスト講師に児童福祉の専門家や支援者、ソーシャルワーカー、小説家、アーティスト、研究者などを迎え、フクシとクリエイティヴの現場に対するさまざまな考え方、視点、ひいてはアートの可能性について議論していきます。また、実践では、オランダ王国大使館からの協力を得て、子どもや若者、障害のある方々を含む人々とアーティストが協働しアートを通じた先駆的な実践を行う海外の専門家を招き、受講生が子どもたちとアーティストを繋ぐ企画に取り組みます。

アートを見たい、触れたい、考えたいと希望する誰もがアクセス可能な「場」とは何か。一緒に考え、探していきます。

<特徴>
・福祉とアートをつなぐ活動に触れることができる 
・子どもたちや、社会的に弱いとされる立場にある人々を取り囲む環境を創造的に変革する専門家の声が聞ける
・アーティストやキュレーターの活動を通して、新しいアート・エデュケーションの可能性が発見できる
・海外の先駆的な活動を行う実践者との意見交換、ワークショップが体験できる

<こんな方にオススメ>
・福祉、社会、アートに関心がある方
・新たなアート・エデュケーション、学びの場を考えたい方
・子どもやアーティストと相互に想像力を刺激する活動に触れたい方
・ケアの在り方や、子どもとの寄り添い方のヒントを考えたい方 

 

 

 

プロフィール
  • 堀内奈穂子(AITキュレーター)
    エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。2008年より、AITにてレジデンス・プログラムや展覧会、シンポジウム、企業プログラムの企画に携わる。ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 _ 何をなすべきか? 東京」(2007年)アシスタント・キュレーター、「Home Again」(原美術館、2012年)アソシエイト・キュレーターを務める。国際交流基金主催による「Shuffling Space」展(タイ、2015年) キュレーター、「Invisible Energy」(ST PAUL St Gallery、ニュージーランド、2015年)共同キュレーター。アーカスプロジェクト(2013年)およびPARADISE AIR(2015年ー)ゲストキュレーター。
  • 藤井理花(AITプロジェクト・マネージャー)
    千葉県生まれ。出版IT企業などを経て2011年より現職。AITでは主に展覧会やイベント、ワークショップのコーディネートや企画を担当。AITが2014年に企画協力した「ゴー・ビトゥイーンズ展-こどもを通してみる世界:子どもキャプションプロジェクト」(主催:森美術館)では、学校プログラムや一般の子ども向けワークショップの運営に関わる。ジーナ・ブエンフェルド企画「回る世界の静止点で」(2014年)、「The BAR vol.8 Today of Yesterday 過去に在る、いま」展(2015年、山本現代)などを担当。2016年に開始した、dear Meプロジェクトのメンバー。個性豊かな子どもや若者が主体的に関わるプログラムを策定中。興味は自然、温泉、映画、養蜂。個人の活動に福祉施設の児童と様々な文化活動や学びのサポートを行うボランティアグループに参加している。MAD2010キュラトリアル・スタディーズ修了生。