子どもとフクシとアートのラボ(4-9月)の最終回は、オランダのアムステルダムにある精神科医療施設の森の敷地でアーティストが滞在し、さまざまな人々との協働を実践するフィフス・シーズンの専門家2名とアーティストの和田 昌宏さんを招き、アーティストと子どもたちをつなぐワークショップのファシリテーションに取り組みます。
実践②森の中の柔らかな協働:子どもとアーティストのワークショップ・ファシリテーション
子どもとフクシとアートのラボ(4-9月)の9回のレクチャーで学んだ知識やつながりのヒントを元に、アーティストと子どもをつなぐワークショップの企画に取り組み、受講生が自らワークショップのファシリテーターにチャレンジします。当日は、精神科医療施設との協働で活動を実施するフィフス・シーズンのエスター・フォセンさんとウィルコ・タウネブライヤーさんのアイディアをもとに、オランダと日本に伝わるおとぎばなしや昔話を取り上げながら、主人公や登場人物のさまざまな人格や心の動きを想像します。
「もし、主人公がとっても落ち込んでいたら?」「いつも笑っているあの登場人物にも悩みがある?」など、違う物語の展開を話し合いながら、立体やドローイングなどで自由に表現し、それぞれが見ている世界の差異や共通点を発見します。ワークショップには、家族をめぐる物語や、日本古来の童話など、一見、誰もが知るものの中にある不安定さや不確かさを映像や立体で表現するアーティストの和田 昌宏さんを招き、フィフス・シーズン、AIT、本コース受講生の皆さんが伴走者になり、実施します。
*子ども参加者は無料/対象年齢:小学生以上
(未就学児のお子さんで参加を希望される場合は応相談)
*記録の映像と写真撮影があります。
子どもとフクシとアートのラボ(4-9月)
アートと子どもと福祉を取り巻く新しい可能性について考えるコースです。レクチャーと実践を通し、さまざまな環境下にある子どもや若者が主体的に関わる場づくりや新しいアート・エデュケーションの可能性を考えます。AITが2016年に立ち上げたアーティストと子どもが協働するプロジェクト「dear Me」を出発点に、ゲスト講師に児童福祉施設の先生やケアワーカー、小説家、アーティスト、研究者などを迎え、フクシとクリエイティヴの現場に対するさまざまな考え方、視点、ひいてはアートの可能性について議論していきます。また、実践では、オランダ王国大使館からの協力を得て、子どもや障害者に向けた先駆的な鑑賞方法やエデュケーションを行う海外の実践者を招き、受講生が子どもとアーティストを繋ぐ企画に取り組みます。 アートを見たい、触れたい、考えたいと希望する誰もがアクセス可能な「場」とは何か。一緒に考え、探していきます。
<特徴> ・児童福祉とアートをつなぐ活動がわかる ・子どもを囲む環境を創造的に変革する専門家の声が聞ける ・アーティストやキュレーターの活動を通して、新しいアート・エデュケーションの可能性が発見できる ・海外の先駆的な活動を行う実践者との意見交換、ワークショップが体験できる
<こんな方にオススメ> ・福祉、社会、アートに関心がある方 ・新たなアート・エデュケーション、学びの場を考えたい方 ・子どもと相互に想像力を刺激する活動に触れたい方 ・ケアの在り方や子どもとの寄り添い方のヒントを考えたい方
参加者:小学生以上の子ども達10名
スタッフ:AIT、本コース受講生
実践② – 子どもとアーティストのワークショップ・ファシリテーション –
日時:2018年9月1日(土)13:00-16:00(準備11:00〜 / 片付け〜17:00) 場所:ヒルサイドテラスE棟(東京都渋谷区猿楽町29-8)
助成:
・日本財団 ※本講座では、奨学金制度を設け、社会的養護出身等の若者の受講料を免除し、本講座以外のMADも受講できる(一部除く)サポートを行っています。
・オランダ王国大使館 ※実践①②の招聘サポートを受けています。
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エスター・フォセン(フィフス・シーズン ディレクター/ビューティフル・ディストレス・アート・マニフェステーション キュレーター)フィフス・シーズン ディレクター/キュレーター。オランダ、コーポレートアート協会(VBCN)の理事およびモンドリアン財団の委員を務める。ジャーナリズムを学び、オランダ国立放送(VPRO)の番組制作者として働いた後、アート・アカデミーとアムステルダム大学で美術史を学ぶ。 1998年以来、アペル・アーツ・センター、オランダ国立博物館の精神医学部門、ドルハウス美術館などの美術機関においてプロジェクトマネージャーおよびキュレーターとして働く。http://www.vijfde-seizoen.nl/en/
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ウィルコ・タウネブライヤー(ビューティフル・ディストレス設立者&理事長/精神科医)1961年オランダ生まれ。アムステルダム市公共健康局メンタルヘルス部にて医療長として従事する。精神科医として勤務するなか、精神医療と文化が出合い、互いの領域を交差させるプロジェクトに関わってきた。執筆活動のほか、医療とアートの両分野の大学で教鞭を執る。ビューティフル・ディストレスは、精神障害を持つ人々のことがより広く理解される社会の実現を目指し、アートを通じて精神医療と社会の間にある分断や、その隙間を埋めることをコンセプトに立ち上げられた。
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和田 昌宏(美術家)東京都生まれ。2004年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジファインアート卒業。個人としてアーティスト活動の他、現在「国立奥多摩美術館」や「Ongoing Collective」など、オルタナティブスペースやアーティストコレクティブの活動にも関わっている。近年の展覧会に「Rμv-1/2gμvR=(8πG/c^4)Tμv」(LOKO GALLERY、2016)、「どしゃぶりの虹(YAMAMBA)」(Art center Ongoing、2016)、「Asian Art Award 2018」(Terrada Art Complex)、「奥能登国際芸術祭2017」(奥能登口伝資料館)、「国東半島芸術祭 『希望の原理』」(旧香々地町役場、2014)、「横浜トリエンナーレ2014」(横浜美術館、2014)などがある。