Volume.(日本語) 01 2022.09.06
(日本語) 《ペンシルヴァニア州フィラデルフィア》〈A Pound of Pictures〉より 2021年 ©Alec Soth, courtesy LOOCK Galerie, Berlin

みなさん、こんにちは。
記念すべき「ボヤボヤアートニュースレター」創刊号にようこそ!

「え!?なんでボヤボヤ」と思った方もいるかもしれません。
このタイトルは、ちょうどみんなが生まれる100年くらい前に創刊された雑誌『望野(ぼうや)』からヒントをもらいました。

『望野』は、明治41年に武者小路実篤や志賀直哉など、みなさんもよく知る文豪が創刊した雑誌です。
その時のメンバーがみんな「ボヤボヤしているから」ということで、「望野(ぼうや)」と名付けられたそうです。
その後、雑誌は『白樺』と名前を変えて、さまざまな文学者、芸術家がメンバーに加わり、世界的にも知られていきます。そこで大切にされていたのは、自分たちのやりたいことを自由に表現・発表することでした。
さらに、文芸に限らず、当時の美術、音楽、演劇、思想、宗教など、自分たちが面白いと思うさまざまな考え方を紹介し、時代の先を目指す活動でした。

このニュースレターでは、そうした歴史の革新的な雑誌に少しだけヒントを得ながら、みんなで自由に、時に「ボヤボヤ」しながらアートや表現を考えたいと思います。

毎回ゆるやかにテーマを決め、おすすめの展覧会やアートニュース、イベント情報、高校生が応募できる公募展、そして、スマホからも見られるクリエイティヴな動画や話題のSNSなど、
みなさんの身近な関心や体験と、アートをつなげてご紹介します。

アートに関する疑問やシェアしたいことも募集しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

theme
(日本語) 「環境」と私たちの生き方
(日本語) みなさんは今、とても暑い夏を体験していたり、世界では山火事や熱波などの異常気象に見舞われるなど、
地球や自分たちの身の回りの環境を意識することが増えていませんか?
今回は、そんな「環境」と私たちの生き方にまつわるアートに注目し、ピックアップした情報をお届けします。

テキスト:[NH] Naoko Horiuchi 、 [RF] Rika Fujii (AIT)

  1. 1. what’s new

    • (日本語) おすすめの展覧会 1 「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」
    • (日本語) おすすめの展覧会 2 「アレック・ソス Gathered Leaves」
    • (日本語) 世界の環境とアートのニュース
  2. 2. watch & listen

    • (日本語) ウクライナの若者のいま
    • (日本語) 庭師 安諸定男さんの「庭づくり」の宇宙
    • (日本語) 上海出身アーティスト、ルー・ヤンのめくるめくビデオ
    • (日本語) 気候危機と芸術の関係性を学べるアートの講座
  3. 3. create & apply

    • (日本語) pixiv高校生イラコン2022
    • (日本語) コクヨデザインアワード2023
    • (日本語) ユニフォームコンクール「第24回千年大賞」
  4. 4. today’s artist

    • (日本語) Artist : 武蔵野美術大学3年生 ペレス矢田舞さん
  5. 5. share & connect

    • (日本語) 質問やコメントを送ってくださいね!

what’s new
(日本語) 日本や世界のアートニュース、
おすすめの展覧会やイベントなどを紹介します!

  • (日本語) おすすめの展覧会 1

    (日本語) 「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」
    2022年6月29日(水) - 11月6日(日)
    森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F) https://www.mori.art.museum/

    (日本語)  この展覧会では、映像や彫刻、絵画など、日本や海外のさまざまなアーティストの作品を通して、自然やあらゆる生物と人間の関係性や、精神、生きることについて考察している。中には、花粉や蜜ろうを用いた作品や、アーティストが北極点に立ち、地球の自転と反対方向に24時間回り続ける映像などがあり、自分がいる場所から環境やあらゆる生物について想像を巡らせることができる。[NH]

    (日本語) 関連イベント
    (日本語) 10月1日に身体感覚の可能性を追究するアーティストとともに、五感を通して、「地球がまわる音を聴く」展を読み解く「Meet the Artist」があるほか、会期中さまざまなイベントが行われる。
    (日本語) 展覧会チラシ

    (日本語)  この展覧会では、映像や彫刻、絵画など、日本や海外のさまざまなアーティストの作品を通して、自然やあらゆる生物と人間の関係性や、精神、生きることについて考察している。中には、花粉や蜜ろうを用いた作品や、アーティストが北極点に立ち、地球の自転と反対方向に24時間回り続ける映像などがあり、自分がいる場所から環境やあらゆる生物について想像を巡らせることができる。[NH]

    (日本語) 関連イベント
    (日本語) 10月1日に身体感覚の可能性を追究するアーティストとともに、五感を通して、「地球がまわる音を聴く」展を読み解く「Meet the Artist」があるほか、会期中さまざまなイベントが行われる。
  • (日本語) おすすめの展覧会 2

    (日本語) 「アレック・ソス Gathered Leaves」
    2022年6月25日(土) - 10月10日(月・祝)
    神奈川県立近代美術館 葉山(神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1) http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2022-alec-soth

    (日本語)  アメリカの現代写真を牽引するアレック・ソス(1969年生まれ)による、日本の美術館では初となる個展。綿密なコンセプトをもとに国内外への旅を重ね、自然や人々をとらえたソスの作品は、ドキュメンタリー写真の手法を継承しながらも独自の詩的な静謐さをたたえ、国際的に高い評価を得ている。
     5つのシリーズで構成される展示のうち、「Broken Manual」シリーズは、社会を離れ、荒野や洞窟の中で隠れて生活をする人々を取材したプロジェクト。本展では撮影の旅を記録したドキュメンタリー映画『Somewhere to Disappear』も参考上映されている。圧倒的な自然風景と、現代社会の利便性とは無縁の環境で世捨て人のようにただ一人暮らす人々との何気ない対話と、そこに映し出される表情。それは、生きることの意味や豊かさとは何かを私たちに問うような、人間の内面に迫るものがある。[RF]

    (日本語) TIPS
    (日本語) 18歳未満のメンバーがいる家族連れ(65歳以上の方を除く)は割引料金で入館できるファミリー・コミュニケーションの日あり(9月4日、10月2日)。
    (日本語) 《ふたつのタオル》 〈NIAGARA〉より 2004年 ローク・ガレリー蔵 ©Alec Soth, courtesy LOOCK Galerie, Berlin
    (日本語) 《2008_02zl0189》〈Broken Manual〉より 2008年 ©Alec Soth, courtesy LOOCK Galerie, Berlin
    (日本語) 《ピーターのハウスボート、ミネソタ州ウィノナ》〈Sleeping by the Mississippi〉より 2002年 ©Alec Soth, courtesy LOOCK Galerie, Berlin

    (日本語)  アメリカの現代写真を牽引するアレック・ソス(1969年生まれ)による、日本の美術館では初となる個展。綿密なコンセプトをもとに国内外への旅を重ね、自然や人々をとらえたソスの作品は、ドキュメンタリー写真の手法を継承しながらも独自の詩的な静謐さをたたえ、国際的に高い評価を得ている。
     5つのシリーズで構成される展示のうち、「Broken Manual」シリーズは、社会を離れ、荒野や洞窟の中で隠れて生活をする人々を取材したプロジェクト。本展では撮影の旅を記録したドキュメンタリー映画『Somewhere to Disappear』も参考上映されている。圧倒的な自然風景と、現代社会の利便性とは無縁の環境で世捨て人のようにただ一人暮らす人々との何気ない対話と、そこに映し出される表情。それは、生きることの意味や豊かさとは何かを私たちに問うような、人間の内面に迫るものがある。[RF]

    (日本語) TIPS
    (日本語) 18歳未満のメンバーがいる家族連れ(65歳以上の方を除く)は割引料金で入館できるファミリー・コミュニケーションの日あり(9月4日、10月2日)。

(日本語) 世界の環境とアートのニュース

(日本語) ハナバチのためのアート作品「Pollinator Pathmaker」

(日本語) イギリスのサーペンタインギャラリーが行う、アートと地球環境を考える「Back to Earth」プロジェクトで、人間のためではなく、絶滅の危機に瀕したポリネーター(ハナバチや蝶など、花粉を媒介する昆虫)のための、植物でできた活きた彫刻作品をつくる「Pollinator Pathmaker」ウェブサイトが今年の春に公開された。これは、アーティストのアレクサンドラ・デイジー・ギンズバーグ博士によるもので、これまでに園芸家や生物学者などさまざまな専門家の協力を得て、その地域の蜜源植物や、ポリネーターの生態を研究、最善の環境設計を分析し、アルゴリズムで庭づくりに反映できる。ウェブサイトにアクセスすれば、誰でもイギリスの土地や自然環境に特化した庭の設計を試みることができる。日本でもこうした、実際の環境保全や生物多様性の向上につながるアートプロジェクトの開発を期待したい。[RF]「Pollinator Pathmaker」ウェブサイト

(日本語) イギリスのサーペンタインギャラリーが行う、アートと地球環境を考える「Back to Earth」プロジェクトで、人間のためではなく、絶滅の危機に瀕したポリネーター(ハナバチや蝶など、花粉を媒介する昆虫)のための、植物でできた活きた彫刻作品をつくる「Pollinator Pathmaker」ウェブサイトが今年の春に公開された。これは、アーティストのアレクサンドラ・デイジー・ギンズバーグ博士によるもので、これまでに園芸家や生物学者などさまざまな専門家の協力を得て、その地域の蜜源植物や、ポリネーターの生態を研究、最善の環境設計を分析し、アルゴリズムで庭づくりに反映できる。ウェブサイトにアクセスすれば、誰でもイギリスの土地や自然環境に特化した庭の設計を試みることができる。日本でもこうした、実際の環境保全や生物多様性の向上につながるアートプロジェクトの開発を期待したい。[RF]「Pollinator Pathmaker」ウェブサイト

watch & listen
(日本語) 毎回、テーマにゆるやかにつながる話題のSNS、ミュージックビデオ、
アート作品や映画など、ユニークな表現を紹介します!

  • (日本語) ウクライナの
    若者のいま
    (Twitterの投稿より)
    (日本語) ロシアとの戦争で大きく揺れるウクライナ。過酷な暮らしやミサイルによる環境破壊の映像が連日ニュースに映し出される中、若者たちの日常の一コマがTwitterで話題になっている。
    それは、がれき除去の作業中、路上でテクノミュージックをかけ、レイヴパーティーさながら踊りながら破壊された街を片付ける若者たちの姿。国がどんなに悲惨な状況でも、時には自分たちで「自由」を見つけ、ポジティヴに身を任せることを忘れない、勇気づけられる投稿だ。[RF]
  • (日本語) 庭師 安諸定男さんの
    「庭づくり」の宇宙
    (YouTube、ウェブサイトより)
    (日本語) みなさんは、「庭師」という職業について、考えたことがあるだろうか。それは、植物や石をつかって彫刻作品をつくるような根気のいる、そして途方もない思考の連続の作業。
     日本のみならず、アジアやヨーロッパの日本庭園を手がけ、フランス名誉市民でもある安諸定男さんは今年81歳になる「庭師」のレジェンド的存在だ。今年7月16日に東京・中目黒にオープンした「VISVIM GALLERY」の庭に、ユートピアを意味する「桃源郷」の語源となった逸話をもとにした美しい日本の里山の風景を表現。小石一つの向きにもとことんこだわる、その職人技と10ヶ月の作庭を追ったドキュメンタリー。庭にかけた想いと、幻想的な世界観が広がる。*映像はPCやMacから見てくださいね。[RF]
  • (日本語) 上海出身アーティスト、
    ルー・ヤンの
    めくるめくビデオ
    (日本語) 国際的に活動するマルチメディア・アーティスト、ルー・ヤンの名を聞いたことがある人もいるかもしれない。3Dアニメーションやモーショングラフィック、VRやゲームのプログラミング等を駆使し、宗教や哲学、神経科学、心理学などの領域を横断しながら「生命」や「神」などの存在や神話、幻想世界を作品として創造している。その作風は過激でおどろおどろしくも、観る者を引き込む狂気性がある。実験用のカエルの死骸がリズミカルに踊る《復活!カエルゾンビ水中バレエ!》など、衝撃とともに考えさせられる作品もある。筆者が見た2018年の東京・スパイラルでの個展では、日本人アーティストSaeborgが参加し、豚のコスチュームを着たパフォーマーとのコラボレーションも行った。アニメやゲームの要素を多用した仮想空間でのめくるめく表現には、地球上に住む誰もが避けては通れない死や老い、生命への倫理感など普遍の問いが見え隠れする。[RF]
  • (日本語) 気候危機と芸術の
    関係性を学べる
    アートの講座
    (日本語) このニュースレターを発信しているNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]では、20年以上にわたり、現代アートの学びのプログラムを提供している。 2020年からは、オンラインで学べるTotal Arts Studies (TAS)を開講し、気候危機と芸術、子供/福祉と芸術などについて学ぶことができる。特に、ロジャー・マクドナルドの「崩壊の時代の芸術体験」コースでは、現代のアートに限らず、洞窟壁画や中国の古典芸術から宇宙移住の話しまで、迫りつつある気候危機や、今後、人類が遭遇するかもしれない気候危機や危機的な時代を生きるため、 芸術からどのような「知恵」を得ることができるか考察している。[NH]
    (日本語) 関連イベント
    (日本語) 9月15日東京・代官山にて、書籍『DEEP LOOKING-想像力を蘇らせる深い観察のガイド』出版記念トーク+交流会「DEEP LOOKINGの読みどころ」開催(参加無料、要予約)。 https://deeplooking-minitalk0915.peatix.com/

create & apply
(日本語) 高校生も出せる公募プログラムを紹介します!
(日本語) ここでは、アートをはじめ、アニメ、イラスト、ポスター、文学など、
高校生が応募できる公募情報をお知らせします。みなさん、ぜひチャレンジしてください!

today’s artist
(日本語) これまでN高/S高でトークをした表現者の方々の作品などをご紹介します!

share & connect
(日本語) みんなが知りたいアートの世界。
気になるアートのことについて自由にシェアしたり、質問する場です。

(日本語) みんなが知りたいアートの世界。今回気になったニュースやアートについて自由に感想を教えてください。どんなことでもOKです。ぜひコメントを送ってくださいね!
(日本語) 送り先はこちら👇(締め切り:9月30日) Google Form

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(日本語) このニュースレターについて
(日本語) このニュースレターは、数々のアートのプログラムを手掛けるNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]が編集しています。
AITは、2021年度より、本校のアートプログラムにて、レクチャーやワークショップ、また、美術大学生を招いたトークなどを企画しています。
www.a-i-t.net